小学校に入学し学年が上がると、学校での視力検査の結果がB判定やC判定といった視力低下の指摘を受けることが出てきます。親御さんがその結果を見ると、ご自分のお子様の「目が悪くなった?」と心配されるのですが、果たしてそうでしょうか?
確かに例外はありますが、通常学童期に視力が低下したという場合、目の屈折の状態が近視化したため、裸眼では遠くにピントが合わなくなったという場合が多く、その場合は眼科的には病的な状態ではないということになります。
目には人それぞれに近視や遠視、乱視といった屈折状態があり、眼科を受診した際にオートレフラクトメータという機器を用いて測定されます。眼球には角膜と水晶体というカメラのレンズに相当する部位があり、網膜の中心にあたる中心窩に向かって焦点を結ぼうとします。レンズのある場所から焦点までの距離を焦点距離といい、体の成長に伴い眼球も大きくなると、中心窩に至る焦点距離が足りなくなった結果、中心窩の上に焦点を結ぶことが出来なくなる状態が学童期に見られる近視の状態です。
近視になると、自覚的には手元にはピントが合いくっきり見えるのに対し、遠くはピンボケになり遠くの黒板の小さな文字は見えなくなってきます。
近視眼では、光学的な焦点距離が不足するため、眼鏡やコンタクトレンズを眼の外に置くことで焦点距離を伸ばし近視を矯正し遠くにピントを合わせることが出来るようになります。
近視の目では、裸眼の視力検査を行うと1.0には届かない0.5や0.3といった視力の結果になり、近視の程度が進むと中には0.1を下回る0.05や0.04といった視力になる場合も珍しいことではありません。裸眼視力をはかると0.05であったとしても、手元はくっきり見えるのが近視の状態で、レンズを用いた矯正を行うと遠くもはっきりと見ることができます。
眼科でいう視力は、通常矯正した視力のことで、矯正視力が(1.0)以上あれば病的な視力低下はないと考えます。