緑内障に良い食べ物

日常の診療で、緑内障と診断した患者さんから「日常生活で何か気をつけることはありますか?」という質問を受けることがあります。そのような場合、何らかの生活習慣と緑内障の発症が必ずしもリンクしていると考えられているわけではないため、野菜や魚を含むバランスのとれた食生活をお勧めしたり、神経細胞の細胞膜に多く含まれるとされるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、アントシアニンやアスタキサンチンといった抗酸化作用の強いサプリメントを摂取することが、神経保護的に作用して良いかもしれませんと答えたりしていました。

緑内障になった場合に摂取を心掛けた方がよい食べ物というものはあるのでしょうか?

Massachusetts Eye and EarのLouis Pasquale等のグループによる最新の研究によると、緑葉野菜を3倍多く食べていた人々はそうでない人々よりも緑内障の発症のリスクが最大で半分近くになるという結果が示されました。緑葉野菜というのは、レタス、ホウレンソウ、ケールといった野菜で、硝酸を含むこれらの野菜の摂取が眼の中の房水の流出路や網膜の血流の調節作用に影響を及ぼし、緑内障の発症リスクを減じるとしています。
Pasquale等は、米国の医療従事者10万人以上を25年以上前向きに追跡した調査研究の中で、40歳以上の被験者の緑内障発症率と緑葉野菜からの硝酸摂取量を検討し、緑葉野菜から硝酸を多く摂取している方が原発開放隅角緑内障の発症率が低くなることを示しました。

一酸化窒素

緑葉野菜は体内のに取り込まれる硝酸の主要な供給源で、取り込まれた硝酸は硝酸-亜硝酸-NO経路を経て組織のNO(一酸化窒素)となり、NOは視神経乳頭血管内で血流の調節を改善したり、房水の流出路で作用して眼圧下降に関与すると考えられています。
原発開放隅角緑内障の発症機序として眼圧上昇と視神経乳頭の血流の調節異常が考えられており、緑葉野菜を多く摂取すると眼の組織中のNOが増加し、緑内障の発症を抑えている可能性があるということのようです。

普段から緑葉野菜を多く摂取することを心がけ、外食などをする際にはグリーンサラダのようなメニューを一品追加したり、ケールが原料とされる青汁のような健康食品を摂取することが緑内障の発症予防につながるのかもしれません。

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